網膜剥離とは、何らかの原因で網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまう状態のことです。
網膜に孔(あな)が開くことによって起こるものや、滲出液という水分が網膜の下に溜まって起こるものなど原因は様々です。一般に、初めのうちは剥離した網膜の範囲は小さくても、時間とともにだんだんこの範囲が拡大し、重症の場合は全ての網膜が剥がれてしまいます。網膜に孔が開く原因は、老化・網膜の萎縮・外傷などが考えられます。網膜剥離は治療せずに放置した場合、失明する可能性の高い病気です。どの年齢でも網膜剥離になる可能性がありますが、20歳代と50歳代の人に多いといわれています。
治療としては、網膜裂孔だけであればレーザー治療で網膜剥離への進行を抑えられることもあります。すでに網膜剥離が発生してしまった場合、治療の中心は手術療法です。手術により、最終的には約95%の確率で網膜を元の位置に戻してやること(網膜復位)が可能ですが、最大限に手を尽くしても、残念ながら失明してしまう場合もあります。また、網膜剥離の状態が長く続くと徐々に網膜の機能が低下てしまい、たとえ手術によって網膜が元の位置に戻せたとしても、見え方の回復が悪いといった後遺症を残すことがあります。網膜剥離が発生から間もない状態であり、剥がれている範囲も小さい場合は、手術も比較的簡単で見え方も元通りに回復する可能性が高いといえます。
飛蚊症や光視症のような症状を自覚した場合には、早めに診察を受けることが大切です。 |